原状回復費をゼロに近づける!営業マンが教える「賢い退去術」とSDGsなオフィス移転の考え方

ハマタロウ博士1号

オフィスを退去する際に、ほとんどの企業が悩まされるのが「原状回復費用」です。
最近では、原状回復工事の坪単価が7〜10万円ほどまで上がっており、100坪のオフィスであれば700万〜1,000万円という大きな出費になることも珍しくありません。

実際に「想定より費用がかさんで予算オーバーになった」「退去時期をずらすことになった」といったご相談をいただくケースが増えています。では、なぜここまで費用が高騰しているのでしょうか?そして、どうすれば削減できるのでしょうか?
営業現場で多くのお客様をサポートしてきた立場から、実践的な対策をお伝えします。

なぜオフィスの原状回復費用はこんなに高いのか?

まず押さえておきたいのは、「原状回復費」は単なる工事費ではないという点です。そこには、施工費以外にも多くの要素が含まれています。

建材・人件費の高騰 ― 資材も職人も足りない現場のリアル

ここ数年、原状回復費が大きく上昇している最大の要因は、建材価格と人件費のダブル高騰です。特にオフィスの原状回復で多く使われる天井材・床材・塗料・軽鉄(LGS)などの建材は、2020年以降の物流混乱や円安の影響を受けて、過去10年間で20〜40%ほど値上がりしています。
たとえば、床のタイルカーペット1㎡あたりの単価も、数年前に比べて約1.3倍。空調や照明設備などの機器類も、半導体不足の影響で納期が延び、在庫不足による価格上昇が続いています。さらに深刻なのが職人不足による人件費上昇です。内装解体や電気設備工事は熟練の技術が必要ですが、建設業界全体で人手不足が進み、日当単価が1.5倍近くに跳ね上がっている職種もあります。これらが積み重なることで、以前は坪あたり5〜6万円ほどだった原状回復工事が、
現在では坪7〜10万円が当たり前という時代になったのです。

営業現場では「前回の退去より高い」というお声をよく聞きますが、それは見積もりのぼったくりではなく、業界全体のコスト構造そのものが変わった結果なのです。

管理会社・ビルオーナー指定の業者 ― 相見積もりが取れない囲い込み構造

原状回復費が高くなりやすい理由の一つが、工事業者を自由に選べない「指定業者制度」です。
多くのオフィスビルでは、管理会社やオーナーがあらかじめ契約している内装会社に発注しなければならず、テナントが相見積もりを取ることができません
。このため価格競争が起こらず、同じ内容でも相場より2〜3割高い見積りになるケースもあります。
また、指定業者はオーナー側の都合でスケジュールを優先するため、退去時期が迫っているテナントほど交渉しづらく、コストが膨らむ傾向があります。
実際の営業現場でも「別の業者なら半額だった」という声を多く耳にしますが、契約上それができないのが現実です。契約前の段階で原状回復は指定業者か、見積り提出の自由度があるかを確認することが、将来のコストを抑える第一歩になります。

スケルトン戻しの仕様差 ― 一言で「原状回復」といっても内容は全く違う

原状回復費のもう一つの大きな要因が、工事内容の範囲(仕様)の違いです。「原状回復=入居時の状態に戻す」とはいうものの、ビル(契約)ごとに定義が異なり、どこまで撤去するかで費用が大きく変わります。
たとえば、壁紙や床材の貼り替えやクリーニングだけで済む「軽微な修繕」タイプもあれば、天井・床・間仕切り・照明・空調まで全て撤去し、コンクリートむき出しの状態に戻す「スケルトン戻し」が求められるケースもあります。後者の場合、坪単価で2倍以上の差が出ることも珍しくありません。
契約時にこの辺りが曖昧なまま入居してしまい、退去時に「想定の倍かかった」という相談を受けることもあります。入居(賃貸借契約)前の段階で、「原状回復の範囲を明文化する」ことが、トラブルを防ぐ最も確実な方法です。

営業マンが現場で見てきた「賢い退去」の共通点

多くの企業が同じように「原状回復で苦労した」と話す中で、スムーズに、しかもコストを抑えて退去できた企業には共通点があります。
それはズバリ、「早めの行動」「引き渡し条件の交渉」を怠らないことです。

退去の1年前から動くのが理想的

解約予告が「6か月前」と定められているビルの場合、余裕をもって1年前から準備を始めるのがベストです。※ただし、移転先のビルの規模にもよります。
なぜなら、退去時には「次のオフィス探し」「移転先の工事」「引っ越し作業」「原状回復工事」が重なり、スケジュールが詰まるからです。時間的余裕があれば、退去費用を抑える選択肢を検討できます。

オーナーとの引き渡し条件交渉がカギ

「原状回復」とは、本来「入居時の状態に戻す」ことを意味します。
しかし、必ずしもすべての設備を撤去しなければならないわけではありません。たとえば、次の入居者が同じレイアウトを希望する場合、照明や間仕切りなどをそのまま残して引き渡すケース(居抜き退去)もあります。こうした引き渡し条件の調整を営業が上手に進められるかどうかで、数百万円の差が生まれることも少なくありません。

いま注目されている「居抜き退去」=SDGsなオフィス移転

近年、原状回復費の高騰を背景に、「居抜き退去」という選択肢が注目されています。
これは、現在使用中の内装・什器・設備をすべて撤去せず、そのまま次の入居企業に引き継ぐ退去方法のことです。単に「壊して捨てる」から「再利用する」方向へと、企業の意識が変わりつつあります。
実際に原状回復で撤去される什器や設備の多くは、実はまだまだ使えるものばかり。現場でも「まだきれいな内装を壊すのはもったいない」「次に入る企業がそのまま使ってくれるなら工期も短縮できる」といった声が増えています。

居抜き退去がもたらす3つのメリット

① 原状回復費の大幅削減

居抜き退去の最大のメリットは、やはり原状回復費を大きく減らせることです。
通常、退去時には間仕切りや什器類をすべて撤去し元通りに戻すため、坪単価7〜10万円ほどの費用がかかります。しかし、居抜き退去では内装や照明、パーティションなどを次の入居企業にそのまま使ってもらうことで、撤去工事を行う必要がなくなります。
結果として、解体費や廃棄費用を大幅にカットでき、原状回復費をゼロに近づけることも可能です。ただし、残す設備の状態や安全性、契約書上の取り決めは事前にしっかり確認することが大切です。「どの設備を残すか」「誰がどの費用を負担するか」を明確にしておくことで、思わぬトラブルを防げます。

② 移転スケジュールの短縮

もう一つの大きなメリットは、退去から次の入居までのスケジュールを短縮できることです。
原状回復工事を行うと、通常1〜2か月は工期が必要になりますが、居抜き退去であればその期間をほとんど省略できます。これにより、次のオフィスへの移転準備を早く進められ、「旧オフィスと新オフィスの二重家賃」も発生しにくくなります。さらに、次の入居企業も工事の手間が省けるため、スムーズに入居できるというメリットがあります。
ただし、内装や設備の状態を引き継ぐ際には、点検やクリーニングをきちんと行い、引き渡し時の状態を記録しておくことが重要です。こうした準備をしっかり行うことで、双方にとって気持ちの良い引き渡しができます。

③ 環境負荷の軽減(=SDGsへの貢献)

居抜き退去は、環境にもやさしい退去方法です。
本来であれば解体撤去・廃棄されるオフィスの内装や什器を再利用することで、廃棄物を減らし、CO₂排出量を抑えることができます。最近では、こうした「サステナブルな退去」を意識する企業が増えており、居抜き退去を選ぶことで企業の環境配慮姿勢をアピールすることも可能です。
また、残された設備や家具を再利用することで、資源を有効活用できる点も魅力です。
現場でも、居抜き退去を実施した企業様から「環境にも会社にも優しい選択ができた」と喜ばれることが多くあります。費用削減だけでなく、企業の社会的価値を高める取り組みとしての居抜き退去が、今後ますます広がっていくと感じています。

サンエスコーポレーションの「まるっと退去」サービスとは?

従来のオフィス移転では、物件探しから契約・引き渡しまでの手続きに加え、現オフィスの原状回復や什器の廃棄が大きな負担となっていました。しかし、私たちサンエスコーポレーションが提供する「まるっと退去~居抜きでおトクに移転サービス~」は、これらの課題を一括でサポートします。

サービスの特徴

  1. 不動産仲介+居抜き退去支援+什器類の処分をまとめて1か月分の料金
    煩雑になりがちな退去関連の発注を一本化。
    現ビルの退去と移転ビルへの手続きを間に入り貴社に代わって一括で対応します。
  2. 残置物撤去・廃棄物処理をワンストップ対応&処分費無料!
    グループ会社に産業廃棄物中間処理施設を保有しており、オフィス家具撤去を処分費無料で行うことができます。※搬出作業・運搬車両費はご負担いただきます。
  3. 内装をそのままの状態で退去できる!
    通常発生する原状回復工事を行う必要がありません。工事不要のため期間短縮で新オフィス移転までのスケジュールにゆとりが生まれます。
  4. 環境に配慮した内装・オフィス家具の再利用提案
    まだ使える什器・設備を再利用することで、産業廃棄物を最小限に。企業のCSRやSDGsにも貢献します。

こんな企業様におすすめ!

  • 退去コストを抑えたい
  • 工事・廃棄・引っ越しの調整が煩雑で困っている
  • エコな退去を実現したい
さらに詳しく
「まるっと退去~居抜きでオトクに移転サービス~」 オフィス移転をもっとスマートに!
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まとめ:原状回復費は交渉と仕組みで減らせる!

原状回復費用は「避けられないコスト」と思われがちですが、実際には、交渉の仕方とサービス選び次第で大きく変わります。

特に大切なのが「早めの移転準備」、「引き渡し条件・契約内容の確認」、「再利用を前提とした退去計画」です。この3つを押さえることで、数百万円規模のコスト削減も十分可能です。

そして、サンエスコーポレーションの「まるっと退去」サービスを活用すれば、退去にまつわるすべての工程をひとつの窓口で完結できます。「壊す退去」から「つなぐ退去」へ。次の入居者、そして地球にもやさしい退去を、私たちと一緒に実現しませんか?

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ハマタロウ博士
ハマタロウ博士
SDGs×オフィスアドバイザー
こんにちは!オフィスのことならおまかせ!SDGs×オフィスアドバイザーのハマタロウ博士です。この道50年以上、流行が変わっても、オフィス選びの勘どころはしっかり押さえています! 賃貸オフィスをどう選ぶか?使わなくなったオフィス家具はどう処分するのがエコなのか?お得にオフィス家具を手に入れるにはどうすればいいのか……そういった知っておくと得をするオフィスの知恵を、これからたっぷりとお届けしていきます!最新のオフィストレンドや、すぐ使える実用ワザ、業界の裏話まで…ぜひお楽しみに!
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