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オフィスで地震に備える!耐震・免震・制震構造の理解と対策

立原有純

地震は、突如として私たちの生活圏に襲いかかる自然災害です。日本は、太平洋プレート、フィリピン海プレート、北アメリカプレート、ユーラシアプレートという4つの大きなプレートが接する環太平洋地震帯(リング・オブ・ファイア)上に位置しているので、将来的に大震災が起こる可能性が常にあります。特に注目されているのが、「南海トラフ地震」や「首都直下型地震」です。オフィスビルでは、従業員の生命と安全を守るため、事業の継続性を確保するために、地震に強い構造の理解と適切な対策が求められます。ここでは、オフィスビルの耐震構造、免震構造、制震構造について解説し、地震発生時に備えるための具体的な対策を提案します。

地震に強いオフィスビルとは?

地震に強いオフィスビルとは、単に構造的に堅固な建築物を指すのではありません。それは、従業員の安全を最優先に考え、災害時でも企業の運営を維持できるよう設計された環境のことを言います。日本のように地震が頻繁に起こる国では、オフィスビルの耐震性能は、人命を守る上で欠かせない要素の一つです。ここでは、地震に対するオフィスビルの耐性を高めるための三つの主要な技術、すなわち耐震構造、免震構造、制震構造について解説します。

耐震構造とは?基礎から強化する

耐震構造とは、建物の柱や梁などの主要な構造部分が地震に耐えうるように特別に設計されている建物構造を指します。

耐震構造の建物は、震度4から5弱の地震ではほぼ損傷を受けず、震度5強以上の地震においても倒壊を防ぐレベルで行われています。このように、建物の構造部を強靱かつ堅固にすることで、地震のエネルギーを効果的に分散させ、建物全体で受け止めることが可能になります。

この設計理念の核心は、建物が大きな地震に遭遇しても、主要構造がその力に耐え、最終的には建物の崩壊を防ぐことにあります。ただし、建物の構造体が地震に強い設計になっていても、内部の非構造要素(例えば、内壁、天井、設備等)が損傷するリスクは残ります。室内の損傷は、住む人にとって直接的な影響を及ぼすため、耐震設計では構造的な安全性を確保するだけでなく、内装や設備の安全性にも配慮する必要があります。

免震構造とは?地震のエネルギーを逃がす

免震構造とは、地震のエネルギーが建物に直接伝わるのを減少させるために設計された高度な建築技術です。

建物と地盤の間に免震層または免震装置を設置し、地震の際に地盤からの直接的な振動を建物に伝えることを大幅に軽減します。地震の揺れを建物自体に伝える前に吸収または緩和し、結果的に建物内の人々や物へのダメージを最小限に抑えることができます。

免震構造の導入には、特殊な装置や技術が必要となるため、一般的に耐震構造よりも高コストになります。免震装置の設計、製造、設置には高度な技術が要求されるため、初期投資が大きくなりがちです。新築時に設計に組み込むことが一般的ですが、既存の建物に後から免震技術を導入することも可能です。ただし、既存建物への適用は構造や条件によっては困難で、コストがさらに増加する可能性があります。

制震構造とは?揺れをコントロールする

制震構造とは、地震のエネルギーを効果的に吸収または分散させることで、建物の揺れを抑制するための技術です。建物内部に特定の制震装置(ダンパーなど)を取り付けることにより、地震による振動を減衰させることを目的としています。ダンパーは、地震のエネルギーを吸収し、熱エネルギーに変換することで、建物の動きを穏やかにし、構造への負担を軽減します。

免震構造との主な違いは、免震構造が建物と地盤の間に介入して直接の揺れを遮断するのに対し、制震構造は建物が受ける地震エネルギーを内部で効果的に処理し、その影響を軽減する点にあります。制震構造は、免震構造に比べて導入コストが比較的安価です。これは、制震装置の設計や製造が免震装置に比べてシンプルであるため、新築だけでなく既存の建物にも比較的容易に追加することが可能です。小規模な改修や、特定の部分にダンパーを設置することで、耐震性能を向上させることができます。

制震装置は、建物の揺れを抑制することで、直接的な損傷や、室内のインテリアや設備への影響を軽減します。しかし、免震構造に比べると、地震の揺れ自体を減少させる効果は劣る場合があります。

地震に強いオフィスビルの実現は、これらの技術を適切に組み合わせることによって可能となります。安全な職場環境を提供することは、従業員の命を守るだけでなく、企業の信頼性と持続可能性を高める上でも極めて重要です。

地震発生時の備え

ここまでお話した耐震、免震、制震構造は、地震に対する建物の抵抗力を高めますが、完璧な安全を保証するものではありません。そのため、以下のような具体的な備えも重要です。

非常用品の準備

避難訓練の実施

情報収集体制の整備

非常用品の準備
オフィスや職場での災害対策として、非常食、水、救急セットを含む非常用品を備えておくことは非常に重要です。懐中電灯と予備の電池や電子決済が利用できない状況に備えて、現金もあると良いでしょう。

避難訓練の実施
定期的な避難訓練を通じて、従業員に避難経路や集合場所を周知徹底させます。これにより、実際の災害発生時に冷静かつ迅速に行動できるようになります。

情報収集体制の整備
地震発生時に迅速かつ正確な情報を収集・共有するためのシステムを構築します。

まとめ

オフィスビルにおける耐震、免震、制震構造の理解と適切な地震対策の実施は、従業員の安全を守り、企業の貴重な資産を保護する上で欠かせません。地震は予測不可能ですが、今日からできる対策によって、リスクを大幅に減らすことが可能です。オフィス運営においては、これらの構造と対策を積極的に取り入れ、万全の備えを整えましょう。

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